Jul 25, 2015

天然醸造のお醤油とお味噌で食育になる!

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食卓には欠かせない調味料の醤油やお味噌。普段、みなさんはどんな基準で買っていますか?味・値段・塩分控えめ・・など、色んな選び方がありますが、正直、種類も多くてどれにしようか、悩んでしまうこともありますよね。今回は、発酵講座を数多く開催している山崎明子さんに、発酵について、そして調味料を選ぶヒントにもなるお醤油やお味噌の作られ方についても教えて頂きました。
(写真 しいれいフォト)


麹の魅力を知る

ここ数年流行っている麹。

しかし麹は昔から私たち日本人の食卓になくてはならない物でした。醬油・味噌・日本酒・酢・みりん、私たちの食卓に欠かせないこの調味料たちは、麹が作り出しています。ずっと縁の下の力持ちとして、私たちに美味しいを届けてくれていたけど、最近の麹ブームでやっとスポットライトが当たった感じかもしれません。

麹を使う日本の調味料は、発酵食品です。発酵について少しお話しします。

発酵と腐敗。正反対のようなこの言葉ですが、どちらも食品を微生物が分解している事に変わりはありません。分かりやすく言うと

【発酵】
人に役にたつ食べ物になること(美味しい・健康・美容など)
【腐敗】
人が食べられないような食品になること

です。どちらも、微生物君たちが生きる為に行っている事を、私たち人間目線で分類しただけの言い方なんです。

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ちなみに、微生物というのは目に見えない様な小さな生き物たちです。今、この記事を読んでいる皆さんの周りにもたくさんの微生物たちがいます。

彼らは、実は人間が生まれる前からずっといる地球の大先輩!彼らが日々分解し生み出してくれている物があるから、私たちは自然を楽しみ、空気を吸い、水を飲んで生きているんだと思います。えばる事もなく(笑)働き続けている、そんな彼らと上手く共生してきたのが私たち人間ですが、最近はその事を忘れ、地球に、微生物達に無理をさせているのではないかな?と思う事があります。

話はそれてしまいましたが、麹を作る麹菌も微生物のひとつです。日本の有用微生物の中でトップの菌。日本の麹は ニホンコウジカビ(aspergillus oryzae アスペルギルスオリゼ)といい、日本の国菌に指定されています(日本醸造学会)。

このニホンコウジカビは分解するために必要な酵素をたくさん持っています。中でも得意とするのが、

【アミラーゼ】
でんぷんをぶどう糖に分解します。
【プロテアーゼ】
タンパク質をアミノ酸に分解します。
【リパーゼ】
脂質を脂肪酸に分解します。

人体にとって必要な、三大消化酵素を麹菌は持っているのです。つまり、麹菌によって醸された食品は消化が良く、栄養素をスムーズに吸収することができます。

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日本の調味料

このニホンコウジカビや、その他微生物をスライド式にうまく利用する方法を『醸造』と言い、その技術によって作られるのが、味噌・醬油・日本酒 そしてお酢やみりんです。大豆を例に上げてみると、大豆は塩と一緒に瓶に入れておいても何も変化しません。種として子孫を残すために、とても固く強い皮に守られています。それを壊す為に茹でて潰して塩漬けにしても、旨味はでてきません。

ここで、この麹菌を利用し時間をかけて分解する事で大豆のタンパク質はアミノ酸(旨味)に変わり、さらにその他の酵素によってビタミンやミネラルが産出され、自然なかたちで栄養価が高く消化もしやすい「味噌」に生まれ変わるのです。

麹カビがこのような働きをすると、科学的にわかったのは明治以降です。それまでは、科学的根拠はなくとも長い時間をかけて食べる事で人体実験が行われ、職人さんたちが作りながら感じる事で得た知恵を受け継がれてきました。本当にすばらしい事で尊敬の念でいっぱいです。

しかし、科学技術が発達した今、少し状況が変わってきています。微生物達の良い所を抜き取り、遺伝子を組み替えて添加物のような形で利用し、即醸という方法で時間をかけずに調味料が作られるようになりました。旨味が足りないのでさらに添加物が足される事もあります。

コストカットが叫ばれ、長い間しっかり発酵させるという本来の作り方は一般的ではなくなり、日本から蔵がどんどん消えていっています。

しっかりと時間をかけて作られたお醤油やお味噌は本当に美味しい。本物の味が無くなっていく事、それは日本人が持つ「旨味」の感覚を失うことにもなりかねません。本物のお味噌やお醤油は高いというイメージがあるかと思いますが、遺伝子組み換えや脱脂加工大豆を、短時間でタンクで1~3か月で作ってしまうお醤油の1本の値段と、こだわった大豆で1~3年かけて天然醸造で作られたお醤油の値段の差は数百円程度です。

一回お菓子を買うと、終わってしまうくらいの金額です。私はぐうたら母さんなので、難しい事はできません。

だからキッチンにまず、天然醸造の好みのお醤油とお味噌を置いて使ってみる。それだけで、食育になります。美味しいごはんが簡単に作れるようになります。自然の旨味は、体にすっと入っていきます。

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涼しくなってきたら手前味噌を作って、1年間その変化を見てみると面白いです。最初はしょっぱい潰した大豆だったのに、夏には酵母菌の働きで香りが出てきて、秋になって蓋を開けてみると、良い香りのお味噌になっている。コウジカビのすごい力を見る事ができ、「生きている物をいただいているのだな」と心から感じる事ができます。「いただきます」ですね。

時間をかけて、丁寧に作られたものを食べる。
作っている人の顔の見えるものを食べる。

とても大切な事です。今はインターネットも普及して、作り手の想いを私たちはキャッチ出来る様になっています。
是非、これからの生活に麹が本来の姿で作り上げた調味料を足してあげてくださいね。

山崎 明子

元化粧品メーカー美容部員でありセラピストの経験から、外側からのケアの限界を感じる。出産後、娘のアレルギーから腸内環境の大切さに気づき、その頃旅をした小豆島の天然醸造の蔵の微生物達の営みに感動し日本の伝統調味料に興味を持つ。伏木暢顕に師事し醸せ師となり発酵教室を行っている。
http://ameblo.jp/akoppupu/
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